突然の一言「検索1位にして」で空気が凍る
ある中小企業のホームページ制作を請け負ったときのこと。要件定義やワイヤーフレームの最終確認も終え、いよいよ本格的なデザインフェーズに入る直前。プロジェクトの進行に手応えを感じていた矢先、打ち合わせの最後にクライアントの代表から放たれたひと言があった。
「あ、そうだ。うちのサイト、検索で1位にしといてね。うち、競合に絶対負けたくないから。」
一瞬、場が静まり返った。チーム内の誰かが、冗談だろうと軽く笑おうとしたが、クライアントは真剣な顔つきである。こちらはWeb制作会社。SEO対策も提案に含んではいるが、「検索1位にする」ことを保証した覚えはない。それどころか、検索順位はアルゴリズムとユーザー行動に左右される不確実なものであり、単なるコンテンツの配置や見た目だけでは達成できない。
あまりにも無邪気で、それでいて強烈な要望。これが「SEOあるある」の始まりだった。
なぜその一言で凍るのか?Web制作者のジレンマ
このようなリクエストが現場で“凍る”理由は単純だ。「検索1位」という言葉には、多くの誤解と期待が含まれているからだ。
クライアントの多くは、「SEO=検索結果の上位表示」というイメージを持っている。これは間違っていない。しかし、問題はそのプロセスの複雑さと結果の保証の難しさが、まったく理解されていないことにある。
検索順位を上げるためには、以下のような多岐にわたる取り組みが必要になる:
- 競合分析とキーワード戦略
- 内部構造の最適化(HTML/CSS/JSの軽量化や構造化データのマークアップなど)
- モバイル対応と表示速度の改善
- 高品質なコンテンツ制作と継続的な更新
- 信頼性ある外部リンクの獲得(いわゆる被リンク対策)
これらの作業は数ヶ月から年単位での運用が必要であり、制作段階で「検索1位に」と言われても対応しきれないのが実情だ。
「SEOって簡単なんでしょ?」クライアントの誤解あるある
検索1位を当然視するような発言の背景には、「SEO対策=簡単な設定で結果が出るもの」という根深い誤解がある。とくにWebに詳しくないクライアントほど、SEOを“魔法のボタン”のように捉えていることが少なくない。
- 「WordPressで作ったら自動でSEOに強くなるんじゃないの?」
- 「タイトルとメタタグをちゃんと書いたら、上に上がるでしょ?」
- 「〇〇社は検索1位らしいけど、同じくらいのサイト作ったら勝てるよね?」
これらは一見理にかなっているようで、実は本質を見誤っている。
SEOは「設定」ではなく「運用」である。
検索順位は競合やGoogleのアルゴリズム更新、ユーザーの行動など、コントロールできない要因の集合体の中で戦うものだ。
また、「どのキーワードで1位を目指すのか?」というキーワード選定の段階から難易度の違いがある。例えば「整体 東京」は競争が激しいが、「整体〇〇区 肩こり専門」などになるとチャンスもある。だが、それすらも戦略次第だ。
クライアントの誤解は悪気があるわけではない。だからこそ、誠実に、しかし現実的に伝える姿勢が制作サイドには求められる。
専門用語を使わず、たとえ話で伝える
Web制作やSEOの現場では、専門用語が多く飛び交いがちだが、クライアント側がすべてを理解しているとは限らない。とくにSEOに関しては「アルゴリズム」「インデックス」「キーワードボリューム」など、聞き慣れない言葉が出てくるだけで、会話が一方通行になってしまうことも多い。こうした事態を防ぐために、たとえ話を使ってわかりやすく伝える工夫が必要だ。たとえば、「SEOは筋トレのようなものです。始めてすぐに効果が出るものではありませんが、正しく続けていけば確実に力がつき、結果が出てきます」といった表現が効果的だ。このようなたとえ話は、相手の理解を助けるだけでなく、取り組みの継続性や地道な作業の重要性を実感させることができる。また、言葉選びによってクライアントとの心理的な距離を縮めることもできるため、信頼関係の構築にもつながる。専門知識を持つ側の責任として、「わかりやすく伝える努力」を怠らないことが、結果としてプロジェクトの円滑な進行に直結する。
提案資料に「できること・できないこと」を明記する
SEOやWeb施策を提案する際には、「こちらができること」と「保証できないこと」をはっきりと明記することが重要である。たとえば、「SEO対策として以下の施策を実施します:内部対策の最適化、コンテンツ更新、モバイル対応」などと記載しつつ、「検索順位はGoogle側のアルゴリズムによって決定されるため、特定のキーワードで1位になることを保証するものではありません」と明示する。ここを曖昧にしたまま進行してしまうと、後々のトラブルにつながる可能性が高い。クライアントによっては「SEO対策=検索上位に上げてくれるサービス」と短絡的に捉えてしまう場合もあり、それが契約後の不満やクレームの種になる。また、実際に順位が上がらなかった場合、言った・言わないの水掛け論になってしまうリスクもある。資料の段階で明文化しておけば、説明責任を果たした証拠にもなる。相互の認識を文書で共有しておくことは、信頼関係の維持とリスクヘッジの両方において極めて有効な手段である。
成果指標を“検索順位”から“ビジネス効果”に変える
Web制作やSEOの目的は、単に検索順位を上げることではなく、最終的にビジネスとして成果を上げることにある。ところが、クライアントの中には「1位にしたい」「上位表示がゴール」と思い込んでしまう人も少なくない。そこで重要になるのが、指標の再定義だ。検索順位ではなく、「月に○件のお問い合わせ」「予約完了率の改善」「商品購入率の向上」といった、ビジネス成果に直結するKPI(重要業績評価指標)をクライアントと共有することで、制作側と発注側の目線を合わせることができる。また、こうした指標にフォーカスすることで、SEOに加えてUI/UX、導線設計、コンテンツ戦略などの改善余地にも目が向き、サイト全体の品質が向上する。つまり、検索順位はあくまで通過点であり、「何のためにWeb施策を行うのか」という本質的な目的を見失わないことが、長期的な成功には不可欠なのである。制作会社としても、数字で語れる指標を共通言語にすることで、提案の説得力を高め、より効果的な施策を推進できる。
まとめ:クライアントとの認識合わせが、すべての鍵
Web制作やSEOにまつわるトラブルの多くは、「認識のズレ」から生まれる。とくに、検索順位やデザイン、成果の定義といった目に見えづらい要素については、クライアントと制作側で捉え方が異なることが多い。今回の「検索1位にして」という一言に象徴されるように、発注側が簡単に口にする言葉には、深い理解よりも漠然とした期待が含まれていることがある。
だからこそ、制作会社の役割は「期待に応えること」だけではなく、「期待を正しく整えること」にある。SEOを筋トレになぞらえて説明するように、たとえ話を使った理解促進や、提案書での“できる・できない”の明文化、ビジネス成果を指標に据えた目線合わせなど、あらゆる場面での“すり合わせ”がプロジェクト成功のカギとなる。
感覚や希望を受け止めつつも、現実的なラインを丁寧に伝え、互いに歩み寄る。その積み重ねが、信頼と成果を同時に育てる道筋である。どんなに優れた技術やノウハウがあっても、クライアントとの意識の溝を埋められなければ、良いWebはつくれない。だからこそ、言葉のひとつひとつに対して丁寧に向き合い、誠実に説明する姿勢が、制作現場では何より重要なのだ。
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